Grok 4.3は、2026年5月時点でのxAIの主力モデルです。1Mトークンのコンテキストウィンドウ、ネイティブ動画入力、100万トークンあたり$1.25/$2.50の価格設定が特徴ですが、プロトタイプ、学習、サイドプロジェクトであれば、次の3つの経路で無料利用を始められます。xAIコンソールのプロモーションクレジット、Puter.jsのユーザー支払いモデル、そしてgrok.com / Xの無料チャットUIです。
この記事では、それぞれの経路について、アカウント設定、実装例、API呼び出し、導入前に確認すべき制約を実装ベースで整理します。有料APIの詳細は「Grok 4.3 APIの利用方法」、音声版は「Grok Voiceを無料で利用する方法」を参照してください。
TL;DR
- Grok 4.3への無料パスは3つ: xAIコンソールのプロモーションクレジット、Puter.js、grok.com / XチャットUI。
- 開発者向けに最も実装しやすいのはPuter.js: エンドユーザーが利用料を負担するため、開発者側でAPIキーや請求を管理しません。
- API統合の検証にはxAIコンソール: 新規アカウントのプロモーションクレジットで、実際のAPIサーフェスを試せます。
- コード不要ならgrok.com / X: 1日のメッセージ制限はありますが、API実装なしで試せます。
- Puter.jsのモデルIDは
x-ai/grok-4.3、xAI直接利用のモデルIDはgrok-4.3。 - Apidogを使うと、xAI直接利用とOpenRouterのリクエストを同じスキーマで比較できます。
パス1: xAIコンソールのプロモーションクレジット
実際のGrok 4.3 APIを試したい場合は、xAIコンソールから始めるのが最短です。プロダクションと同じAPI形式で検証できます。
ステップ1: xAIコンソールにサインアップする
console.x.ai にアクセスし、アカウントを作成します。サインインはXアカウント経由で行われます。X側で求められる認証以外に、追加のメール認証は不要です。
ステップ2: Billingでクレジットを確認する
xAIは、新規アカウント向けに無料クレジットを付与するプロモーションを実施することがあります。金額や対象期間は変わるため、サインアップ後に Billing タブを確認してください。
過去には、Grok 4.1 FastやAgent Tools APIなど、特定モデルや機能に対する無料利用プロモーションも提供されています。通常、このクレジットは自動更新されないため、プロトタイプ検証用として使うのが現実的です。
ステップ3: APIキーを環境変数に設定する
export XAI_API_KEY="xai-..."
ステップ4: Chat Completions APIを呼び出す
xAIのエンドポイントはOpenAI互換です。
curl https://api.x.ai/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer $XAI_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "grok-4.3",
"messages": [
{
"role": "user",
"content": "Explain prompt caching in three sentences."
}
],
"reasoning_effort": "low"
}'
プロトタイプ段階では、まず reasoning_effort を low にします。medium や high は推論コストが増え、無料クレジットを早く消費します。
長所と短所
| 長所 | 短所 |
|---|---|
| 実際のプロダクションAPIサーフェスを試せる | クレジットは有限 |
| 1Mコンテキスト、動画入力、関数呼び出しを検証できる | プロモーション条件は変更される |
| 有料プラン移行時のコード変更が少ない | 無料枠内でしか使えない |
推奨: 本番APIの挙動を確認したい場合は、xAIコンソールから始めてください。完全なリクエストスキーマは「Grok 4.3 APIの利用方法」で確認できます。
パス2: Puter.js(ユーザー支払い、開発者無料)
公開WebアプリにGrok 4.3を組み込みたい場合、Puter.jsは最も実装しやすい無料パスです。開発者ではなく、エンドユーザーのPuterアカウントに利用料が紐づきます。
仕組み
Puter.jsは、Grok、GPT、Claude、Gemini、DeepSeekなどのLLMをブラウザから呼び出せるJavaScriptクライアントです。
通常のAPI連携では、開発者がAPIキーを管理し、利用料を支払います。一方、Puter.jsでは、エンドユーザーが自身のPuterアカウントで利用料を負担します。そのため、開発者は請求設定やAPIキー配布を管理せずに、無料ツールやサイドプロジェクトを公開できます。
ステップ1: Puter.jsを読み込む
HTMLに次のscriptタグを追加します。
<script src="https://js.puter.com/v2/"></script>
APIキーは不要です。開発者側でPuterアカウントを作成する必要もありません。
ステップ2: Grok 4.3を呼び出す
puter.ai.chat() にモデルID x-ai/grok-4.3 を指定します。
<script src="https://js.puter.com/v2/"></script>
<script>
puter.ai.chat(
"Summarize the trade-offs between SQLite and Postgres in three bullets.",
{ model: "x-ai/grok-4.3" }
).then((response) => {
document.body.innerText = response.message.content;
});
</script>
ユーザーが初めて実行すると、Puterはサインインまたは無料アカウント作成を求めます。その後のAI利用は、ユーザー自身のPuter残高から消費されます。
ステップ3: ストリーミングを使う
ストリーミングレスポンスも利用できます。
const stream = await puter.ai.chat(
"Walk me through migrating a React app to Next.js.",
{
model: "x-ai/grok-4.3",
stream: true,
reasoning_effort: "medium",
}
);
for await (const chunk of stream) {
process.stdout.write(chunk?.text || "");
}
ブラウザUIに表示する場合は、process.stdout.write の代わりにDOMを更新します。
const output = document.querySelector("#output");
for await (const chunk of stream) {
output.textContent += chunk?.text || "";
}
長所と短所
| 長所 | 短所 |
|---|---|
| 開発者の費用が継続的に0ドル | ユーザーはPuterにサインインする必要がある |
| リポジトリにAPIキーを置かなくてよい | バックエンド専用処理には向かない |
| 複数LLMを同じ形式で扱える | xAI直接利用よりレイテンシが増える場合がある |
| 公開Webアプリに組み込みやすい | ブラウザコンテキストが前提 |
推奨: 公開Webアプリ、無料ツール、サイドプロジェクト、課金管理を持ちたくないプロダクトではPuter.jsが有効です。一方、社内バッチ、Discordボット、サーバーサイド自動化など、ユーザーがブラウザで直接実行しない用途には向きません。
関連する無料APIパターンは「DeepSeek V4 APIを無料で利用する方法」および「GPT-5.5 APIを無料で利用する方法」も参照してください。
パス3: grok.comとXアプリ
コードから呼び出す必要がなく、Grok 4.3と会話できればよい場合は、チャットUIを使います。
- grok.com: Xアカウントでサインインして使うWebチャット。
- Xアプリ: モバイルアプリまたはWebアプリのGrokタブから利用。
無料ユーザーには1日のメッセージクォータがあります。クォータは24時間ごとにリセットされます。
このパスはAPIではないため、スクリプト化やアプリへの組み込みはできません。用途は次のようなケースです。
- 単発の調査質問
- API実装前のプロンプト検証
- モデルの応答傾向の確認
- Grokが対象タスクに合うかの事前評価
grok.com の無料プランでは、デフォルトでより小さなGrokバリアント(現在はGrok 4.1)が使われます。Xのプレミアムサブスクリプションでは、チャットUI上でGrok 4.3がアンロックされ、より高いクォータが提供されます。
パス4: OpenRouter(安価だがGrok 4.3は無料ではない)
OpenRouterは、複数のモデルプロバイダーを1つのAPIキーと共通インターフェースで扱えるゲートウェイです。
OpenRouter経由のGrok 4.3は、xAI直接利用と同じく100万トークンあたり$1.25/$2.50なので無料ではありません。ただし、OpenRouterでは一部のGrokモデルに対して、無料バリアント(例: grok-4-fast:free)が提供されています。
Grok 4.3そのものが必要な場合は、上記3つのパスを使います。Grok系の出力を無料で試したいだけなら、OpenRouterの無料モデルを検討できます。
curl https://openrouter.ai/api/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer $OPENROUTER_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "x-ai/grok-4-fast:free",
"messages": [
{
"role": "user",
"content": "Hello!"
}
]
}'
OpenRouterは、同じキーでDeepSeekや他のオープンモデルを試す用途にも使えます。
4つのパスの比較
| パス | 開発者にとってのコスト | エンドユーザーにとってのコスト | 最適な用途 |
|---|---|---|---|
| xAIコンソール(クレジット) | $0(クレジット内) | 該当なし | APIプロトタイプ、本番APIの学習 |
| Puter.js | 継続的に$0 | セッションあたり数セント | 公開Webアプリ、無料ツール、サイドプロジェクト |
| grok.com / X | $0 | $0(クォータあり) | 非開発者、単発質問、プロンプト検証 |
| OpenRouter無料モデル | $0 | 該当なし | Grok 4.3に限定しない無料のGrok系出力 |
ApidogでxAIとOpenRouterのリクエストを比較する
複数プロバイダーで同じモデル系統を使う場合は、同一リクエストを保存し、ベースURLとモデルIDだけを切り替えて比較すると検証が速くなります。
セットアップ例
- Apidogで新しい環境を作成する。
- 環境変数を追加する。
XAI_API_KEYOPENROUTER_API_KEYBASE_URL
- xAI用の環境を作成する。
BASE_URL=https://api.x.ai/v1
- OpenRouter用の環境を作成する。
BASE_URL=https://openrouter.ai/api/v1
- Chat Completions用のリクエストを1つ作成する。
- 環境を切り替えて、レスポンス、トークン数、レイテンシを比較する。
Apidogをダウンロードして、新しいコレクションを作成してください。xAIとOpenRouterはいずれもOpenAI Chat Completionsスキーマに対応しているため、モデル文字列を除けばリクエストボディをほぼ同じにできます。
クロスプロバイダーテストの詳細は「QAエンジニア向けAPIテストツール」を参照してください。
無料利用で注意すべき制約
無料パスを使う場合、次の制約を前提に設計してください。
1. レート制限が厳しい
コンソールクレジットは、無制限のスループットを意味しません。大量テストでは、クレジットを使い切る前に429エラーに到達する可能性があります。
実装時は、リトライとバックオフを入れてください。
async function sleep(ms) {
return new Promise((resolve) => setTimeout(resolve, ms));
}
async function callWithRetry(fn, retries = 3) {
for (let i = 0; i < retries; i++) {
try {
return await fn();
} catch (error) {
if (error.status !== 429 || i === retries - 1) {
throw error;
}
await sleep(1000 * Math.pow(2, i));
}
}
}
2. プロンプトキャッシングの効果を体感しにくい
Grok 4.3のプロンプトキャッシングは、100万トークンあたり$0.20で利用できる重要機能です。ただし、数十回程度のプロトタイプでは、キャッシュによるコスト削減は見えにくいです。
長いシステムプロンプトを繰り返し使う本番運用で効果が出ます。
3. サポートは限定的
無料コンソールアカウントでは、サポートはベストエフォートです。本番障害やSLAが必要な場合は、有料プランを前提にしてください。
有料プランに移行するタイミング
次のいずれかに当てはまる場合は、無料パスから有料利用への移行を検討します。
-
継続的なスループットが必要
- 週に複数回レート制限に到達する。
-
長い固定プロンプトを繰り返し使う
- 5万トークン以上の安定したシステムプロンプトがあり、キャッシングの恩恵を受けられる。
-
コンプライアンス要件がある
- SOC 2監査証跡、BAA、地域データレジデンシーなどが必要。
移行自体はシンプルです。OpenRouterではベースURLを切り替え、xAIコンソールではAPIキーや課金設定を更新します。OpenAI互換スキーマを維持していれば、アプリケーションコードの変更は最小限で済みます。
よくある質問
Grok 4.3は本当に無料ですか?
xAIコンソールでは、自動更新されないプロモーションクレジットによるトライアルです。Puter.jsでは、開発者にとっては構造的に無料です。利用料はユーザー側に紐づきます。grok.com では、無料の1日メッセージクォータがあります。
Grok 4.3をPythonやNode.jsのバックエンドから無料で使えますか?
はい。xAIコンソールの無料クレジットが残っている間は可能です。クレジットを使い切った後は、有料プランに移行するか、Puter.jsのようなユーザー支払いモデルに切り替える必要があります。
Puter.jsはNode.jsでも動作しますか?
Puter.jsはブラウザ優先です。ユーザー支払いモデルも、ブラウザ上でユーザーに認証を引き渡す設計です。バックエンド専用用途では、xAIコンソールのクレジットを使うのが現実的です。
PuterでGrok 4.3を使うモデルIDは何ですか?
x-ai/grok-4.3 です。PuterのLLMカタログでは、同じプロバイダー/モデル形式を使います。
無料クレジットで関数呼び出しや動画入力も使えますか?
はい。コンソールクレジットは、Grok 4.3の機能に対して通常の使用量として適用されます。1Mコンテキスト、関数呼び出し、動画入力、推論の労力を試せます。ただし、動画入力はコンテキストを大きく消費するため、トークン使用量に注意してください。
Grok Voiceの無料プランとは何が違いますか?
Grok Voiceはコンソール上で構造的に無料です(1分あたりの料金なし)。Grok 4.3テキストはクレジットで賄われます。詳しくは「Grok Voiceを無料で利用する方法」を参照してください。
無料のGrok 4.3 miniはありますか?
まだありません。xAIは4.3ライン向けの別ミニSKUをリリースしていません。近い選択肢は、OpenRouterの grok-4-fast:free です。ただし、これはGrok 4.3そのものではなく、より小さく高速なGrok 4バリアントです。
まとめ
Grok 4.3を無料で試す合法的なパスは3つあります。
- 本番APIに近い形で検証するなら xAIコンソール
- 公開Webアプリに組み込むなら Puter.js
- コード不要で試すだけなら grok.com / X
Grok 4.3そのものが必要ない場合は、OpenRouterの無料Grok系モデルも選択肢になります。Grok 4.3を有料で使う場合でも、価格は100万トークンあたり$1.25/$2.50なので、サイドプロジェクトでも試しやすい水準です。
完全な有料APIチュートリアルは「Grok 4.3 APIの利用方法」、OpenAIとの比較は「Grok Voice vs GPT-Realtime」を参照してください。
Apidogでリクエストを一度作成し、ベースURLとモデルIDを切り替えれば、無料クレジット、OpenRouter、将来の有料運用まで同じ検証フローで扱えます。


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